2009-09-21
《密陽》
大邱(テグ)の啓明アートセンターのことを書いていて、思い出した映画がありました。
《密陽》・・・2007.5.23公開・141分/イ・チャンドン監督/チョン・ドヨン、ソン・ガンホ主演~(英題=Secret Sunshine)以下、ネタバレ満載です。
タイトルからどんな映画なのかと興味がありましたが、密陽が地名であることが映画の冒頭、密陽まで5㌔という場所でドヨンさんの車が故障することですぐ分かり、「密陽~‘秘密の 陽射し’~ 素敵」とか、密陽という実在する都市のアウトラインについての台詞が続いたりして、この地名に惹かれたというイ・チャンドク監督の思いが最初に示されているとも言えそうです。
密陽(ミリャン)は地図によると慶尚南道、釜山-大邱間を結ぶ高速道路のほぼ中間にあり(これで大邱を記憶)、映画では、ソウルから亡夫の故郷である密陽に子連れで移り住んできたチョン・ドヨンさんの土地購入話(=密陽の釜山-大邱高速道路に近い土地に投資目的で下見に行く)から、ヒロインの新たな悲劇が展開してゆきます。
密陽でピアノ教室を開設したドヨンさんは小さな地方の街では即・好奇の的、土地を買うと吹聴したため、そんな大金を持っているならと顔見知りの男がドヨンさんの愛息を身代金目的に誘拐、息子を失ったドヨンさんは絶望の淵へと追い詰められます(犯人特定に関係するエピソードが上手いと思いました)。
そんなドヨンさんはキリスト教に救いを求めてなんとかやっと持ち直せそうになりますが、‘神の赦し’という大命題をめぐり自己矛盾に陥り、本格的に壊れてゆくことに・・・
そのすさまじい壊れぶりをはじめ、田舎では理解されにくい人生に疲れたエキセントリックな女性を熱演した《密陽》のドヨンさんに、‘カンヌの女王’という称号等数々の栄冠がもたらされたことは、当時まだ映画を見ていなかった私も知るところでした。
こうしたドヨンさんに一目惚れしてつきまとい、彼女の奇矯な言動の理由や内心を訊ねるなどの野暮はせず(というより、正確にはそんなデリカシーなど持ち合わせない俗物ゆえに、でもある種のデリカシーがあるから訊ねないのかもな)、ただひたすら苦悩するドヨンさんをなんとか助けようとする密陽のカーセンターの社長さん。
この社長さんを演ずるソン・ガンホシの、自然でやわらかな演技と濃厚なドヨンさんに対する清涼剤のような存在感が素晴らしく(監督によると二歩後ろで支える)、ラストの「鏡を持っていてやろうか」というシーンには涙がこぼれてしまいましたが、神の愛に勝るとも劣らぬガンホシの、ドヨンさんの全てを受容する度量の大きい愛情に支えられたラブストーリーとして、いくつもの見方があると思いますが、ハッピーエンドの兆しが感じられる素敵な映画だと思いました。
また‘密陽’という、実際は普通の地方都市であるにかかわらず、なにかありげな地名に相応しい濃密なお話であったとも思い、チョン・ドヨンさんという女優さんのエネルギーが存分に感じられた映画でした。
《密陽》を見せて下さった‘なにげに情報通の楽しいお友だち’には有難うございました♪
http://www.kntv.co.jp/news/?p=104
この《密陽》は数多の映画賞に輝いた映画でしたが、この映画で第6回大韓民国映画大賞男優主演賞を獲得したソン・ガンホシのプレゼンテーターがインソン君、でしたネ。
この時はチュ・ジンモシの《愛》もノミネートされて、下はジンモシをフィーチャーした動画のようですが、インソン君は確か「舞台に上がると急速に体力を失う」など仰有られたり、なにかといろいろおもしろいです↓
+Chemisung様による動画をコメント付きで。
【2007.12.1 ソウル世宗文化会館で行われた第6回大韓民国映画大賞授賞式です 。インソン君の登場シーンだけにカットしたらすごく短いので、途中 の口笛でのOST演奏に映画『ラブストーリー』の「あなたにとっ ての私は、私にとってあなたは」があったので入れておきました。プレゼンテーターのインソン君、ちょっと緊張してるね(^.^) 】
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