2010-04-30

狼男 と 蝙蝠男


昨日は怖い映画を2本見てまいりましたが、たまたまどちらも主人公がヴァンパイアに変身するというもので同じ映画館で上映、以下、簡単な感想です。

《 ウルフマン 》


新宿の地下道の大きな広告板です↑もっと引いて撮りたかったのですがなにせ人通りが。
http://www.cinematoday.jp/movie/T0008421

好きな俳優の一人、ベニチオ・デル・トロ♪扮するシェークスピア役者=ローレンスが狼男に襲われて、自分も満月の夜になると自分の意思に関係なく狼男になってしまうという映画です。

19世紀末のイギリスを舞台に、当時の風俗 (特にジプシーとか) や衣装、主人公の生家のお城やフリードリヒの絵を思わせるイギリスらしい風景など、映像全てが素敵でした。

狼男が突然襲いかかるシーンは音響効果も手伝って本当にショッキングで怖さ満点、話題の特殊メイクにもすごいものがありましたが、やはり素晴らしいと思ったのは狼男となってしまって苦悩するベニチオ・デル・トロの哀感ある演技で、前作の 《チェ》 (ゲバラの生涯を扱った二部作) とは異種の魅力に 「やっぱり素敵だわ~」 と思ってしまったのでした。

父親役のアンソニー・ホプキンスは流石の貫禄でしたが、亡くなった母親やヒロインが上等感のある美人で配役も良く、満月に向かって遠吠えする狼男の姿などはホント、絵画的で美しくて、その声は怖いというより可哀想に感じられました。

3D 時代到来の映画界にあって、狼男の変身や動き等に最先端技術を導入しつつも、こういう古典的な情趣のある作品が作られたことを嬉しく思います。

満月は現代でも人の気持ちをちょっと別のところに持って行く力があると思うのですが、昨晩は満月の翌日でしたので帰り道に狼男に遭うことはありませんでしたけれど、一日分欠けたお月様がとても綺麗で、フラ~となりそうでしたよ。



《 渇き (原題・コウモリ・박쥐)》

30日までと分かって、慌てて行ってまいりました。
http://kawaki-movie.com/ ←監督インタビューやメイキングなど、いろいろ入っております。

ソン・ガンホシ扮する神父サンヒョンが、神父として人の死に隣接した日常を繰り返す自分の無力感から、アフリカでの新種ウィルスワクチンの実験に死を覚悟で身を投ずるのですが、500人に一人の生存率で生還してしまい、そこから悲劇の幕が開きます。

奇跡的生還を果たした神父様は皆から崇められるのですが、実は治療中の輸血の影響でヴァンパイア (コウモリ) に変貌、人の生き血を吸わないと身体に異変が生じ、生きてゆけない人となります。

そしてやがて昔の友人の妻を巻き込んで、特別の関係のうちに彼女も吸血コウモリになり、著しい跳躍力や怪力をもって生きてゆくため生き血を求めて二人で悪事を重ねながら堕ちに堕ちてゆくという恐ろしいお話 、、、怖いのですがおもしろい、洗練された映画でした。

途中ソン・ガンホシが朝青龍に似ていることに気付いたり、《愛しの金枝玉葉》 のソン・ジュンギシのお父さんや 《マイ ドリーム》 のキム・ボム君のお父さんがシリアスな役で出てきていたり、なにより、3日前のニュース記事でインソン君を慰問したというキム・ヘスクさんがヒロインの姑・ラ夫人を演じていて(凄い女優さんなのですね、素晴らしい演技でした)、そんな面でも楽しめました。

この作品では10㌔減量したというガンホシ (若返ってました) の演技もさることながら、婚家の閉塞感から逃れて神父サンヒョンと新しい世界に羽ばたくヒロイン=テジュを演じたキム・オクビンさんがとても魅力的で、後半の色々な青い衣装を着けた生き生きとした姿が印象的でした。

映画ではラ夫人の経営する小さな韓服店という狭い空間で多くの事柄が展開しますが、対照的に、最後に開放された主人公二人が砂漠のように広い荒野のようなところで最期を迎えることも記憶に残ります。

パク・チャヌク監督作品、133分、OSTもよかったです。



シネマート新宿では上の2本の他に、《 カラヴァッジオ 》 を30日まで上映中でしたが、さすがに3本を一日で見るのはキビシく、カラヴァッジオ生誕400年を記念したこの映画はDVDでということにしました・ちょっと残念。

ところで 《渇き》 といえば即、このニュースを思い出します~★~重複しますがもう一度、韓国映画が評価されるのは嬉しいことです (偶然ですが上映時間が両作品同じですね)。


パク・チャヌク監督の 『渇き』 と、ユ・ハ監督の 『霜花店(サンファジョム) 運命、その愛』 は、ポルトガル最大の映画祭で、世界3大ファンタジー映画祭の一つでもある 「ポルト国際映画祭」 (通称:ファンタスポルト) で受賞した。

同映画祭事務局が8日に明らかにしたところによると、ソン・ガンホ、キム・オクビン出演の 『渇き』 は6日 (現地時間) に閉幕した第30回ポルト国際映画祭で、アジア映画を対象にした 「オリエント急行アジア長編映画コンペティション部門」 の最優秀作品賞を受賞した。

また、チョ・インソン、チュ・ジンモ、ソン・ジヒョが出演した 『霜花店(サンファジョム) 運命、その愛』 も、同部門の特別賞を受賞した。

[STARNEWS/朝鮮日報日本語版 キム・グァンミョン記者 2010/03/08 18:20:53]




369→☆

3 comments:

M女 said...

ベニチオ・デル・トロ(以下ベン@長いので)と聞いたらコメントせずにはいられません。
ほんとjasmingさんのおっしゃる通りで、すばらしい映画でしたね!
前半の怖さが一気に吹き飛び、後半のじわじわとくる恐怖と悲しみとで何とも言えない感情になりました。

渇きにも興味あり。
でも今日までだったのか・・・
DVDが出るのを待ちます。

M女 said...

「ベニチオ・デル・トロ(以下ベン@長いので)」とか書いてるくせに、一度も名前でてこなかったね。爆

Jasming said...

M女へ♪

らっしゃいませ~~
「狼男」を強力にお奨め下さったお蔭で「渇き」も見ることができました。
こうなると「カラヴァッジオ」が残念ですが、考えてみるとシネマートは主に六本木のサイトを訪ねていたのでした。

ベン、すごくよかったですね、そしてベン情報といえばM女さん、次作の遠藤周作の「沈黙」を日本で撮っているというのは本当かぃ?