2009-01-04

《霜花店》を観て・・・


映画《霜花店》について・・・
12月28日に初日舞台挨拶と併せて2回観て、元旦に1回観ての感想です。

はい、私の大好きなタイプのデリカシーあふれる耽美的な映画でした~
この僻地のブログを読まれる方は僅少と思いますがお読みくださる方にはネタバレなし、
全てが既出の記事にあることで、此処で挙げるOSTの曲もYouTubeにあります。
取るに足らぬ感想文です。


とてもヘビーで繊細で哀切な、胸を締め付けられるような愛の物語です。
ストーリーは解りやすく、論難の的にもなっておりますがシンプルで古典的で特別な展開もなく淡々と重いお話がカタストローフに向かって進んでゆきます。
この映画を長いと指摘する向きもありますが、私にはそう感じることが不思議でした(10分短くしたことが結構功を奏したのかもしれません)。
可哀想な王様のお話であると受け止められるほど王様が目立ち、出番も台詞も多いです。

でも《霜花店》はこれまでのニュ-ス記事などで知られる通り主役3人の演技を味わうべき映画で、それぞれの俳優の持ち味や魅力が生かされまた努力のほどが覗われる、各俳優の素晴らしい演技が全編にちりばめられた優秀な映画です。

チュ・ジンモシは、彼自身から出たコメント=‘監督様はインソンシの面倒ばかりみるのでお尋ねしたら「君は上手いからいいんだよ」と言われました~’の言葉がうそでなかったと納得できる見事な演技で、散々言及されておりますが顔の表情、特に目の演技が素晴らしくて、年令の分インソン君と比べて一日の長があると敢えて言ってしまいましょう。でも歌も上手なこの才人、今とても自信にあふれて輝いていらっしゃいますが、次回作の選択が難しいかもしれません~とそう言いたくなるほど《霜花店》でのゲイの王様はあまりにもぴったりで見事した。

ソン・ジヒョさんはこれまで作品を観たことがなく想像も出来ませんでしたが、悲運の王妃の演技がとても素晴らしかったです~大きな目に湛えられた涙が王妃の全てを表し、これも既に言及されていることですが低めの落ち着きのある声が王妃として、そしてこの悲しい物語を語るに相応しく、ユ・ハ監督が出した条件=ゴージャスすぎないボディと加工の入らないお顔、が自然で美しくて、監督の配役の妙を感じました。この方も次回作、オファーが多いそうですが選ぶの大変かもです。

そしてインソン君ですが、よかったです~ホンリムというセルフ・アイデンティティに悩む成長発展途上の青年を、発展途上の意欲に充ちたステキな俳優が演ずるのですからわるい筈がありません。そして物語の終わりにしっかり輝いてくれるのですが、全編を通してユ・ハ監督がインソン君を念頭にこの物語を書き下ろしたということがよーく解ります。ジンモシが目立つ作りですが不思議です、回を重ねて観るとインソン君の良さがじわじわと増してきて、つまり飽きのこない演技をしているということなのでしょうか。またインソン君の声について監督は史劇の発声がいまひとつ~みたいなことを仰有ってましたが、全然そんなこと思いませんでした~M女も同意見、若い青年役でもありますし。

話題沸騰の破格場面については《ラスト,コーション》を思い出すなと言ってもどうしても比較してしまいますが、ラスト~がダークでドギツイ印象だったのに比べて本作の濡れ場はどの場面も映像美と言える程に美しくて、これはご本人は謙遜していますけれどインソン君の、特に背面の美しさに拠るところ大といえそうで、何れの場面でもその美しいお身体を存分に見せてくれております。監督様自身は《ラスト,コーション》を意識したとは仰有っておりましたが、《霜花店》の場合どのシチュエーションにもなんとも言えない哀れさみたいなものが伴っていて、こういう感じがこの映画の特徴のひとつと思います。



また最近2回、監督のインタビューの中に大島渚の《愛のコリーダ》(1976年日仏合作・欧題は《官能の帝国》)が出てきていて、この映画程度に破格表現をしたかったと言っておられましたが、《霜花店》を観ると実はもっと別のところで《愛のコリーダ》と共通するものがあったことがわかります。 ジンモシとの同性愛場面はどうということばく単なる状況説明という感じで、《ブロークバック・マウンテン》の哀切さなどの方が私には印象的でした。

いずれにしても、《霜花店》を観て後から思い起こすとき先ず浮かぶのは、話題になっている破格場面などではなく、絢爛たる目も彩な美しい画面に繰り広げられる悲劇的な場面や声や表情で、その一こまとして破格場面(確かにすごいですよ)も浮かび上がってくるということで、他方、商業映画として破格の濡れ場を宣伝の全面に押し出した徹底ぶりや、特に<19禁>の2日間公開などのそこまでやるか振りには、ユ・ハ監督はもしやB型なのではと冗談ですが思ったりして。それにしても、ここまでの表現に踏み切った青春スター、監督様いわく、CFのニンフであるインソン君の果敢さには感動すら覚えるわけです。

<OST>についてはまだ記述がないようですが、映画全編を通して覆っている悲しい音色、良かたと思います~殆ど歌謡曲すれすれのキャッチーなメロディのジンモシの歌(帰りがけに歌っている男の人がいました)や、ジヒョさんの悲しげな味わいのある歌声、またホンリムと王様とのやりとりのうち短いですが2回に出てくる、Brahmusとしては覚えやすいの交響曲第3番の甘めの旋律~CD化を期待いたします。

http://jp.youtube.com/watch?v=ejOTIAf-giM

印象的な場面についてはやはり~インソン君がインタビュ-でも話されておりましたが~今までとは違う気持ちで王様とお琴を弾く、微妙な感情表現が行き交う場面~でしたが、《霜花店》について何の予備知識もないM女がこの場面にいたく感動していたことにちょっと驚いたり、、、ということはインソン君の演技は大成功ということですね。



それから忘れておりました~チャンバラはカッコイイです~

心ならずもソウルで2回《霜花店》を見たM女はかなりの映画好き、ユ・ハ監督の作品は好んでおりますが(特にマルチュク)、この度の《霜花店》をとても気に入り、今ワタクシと共に日本語字幕の付いた映像を心待ちにしている状態にあります~また、今日はインソン君のシールを欲しがりました~ふふ、インソンペンが一人増えました~







4 comments:

Anonymous said...

jasmingちゃん♪

お邪魔するのが遅くなってゴメンなさい(>_<)

無事に舞台挨拶も見られたようで、よかったですね!
それに、全部で3回とは(^。^)
イルボンペンではなかなかいないことでしょう!

ネタバレなしの感想!
jasmingちゃんらしい、繊細で奥深~い探究心がとてもよく発揮されていて(^_-)
なかなか他の方には表わせないすばらしい感想文ですね!

どうしても興行的に作られた謳い文句が頭に残ってしまって、「破格的~」の方が気になってしまいますが、それよりもまずはインソン君とその他の出演者の熱演がこの映画の一番の見所であることは間違いないのでしょう。

人によって見方も捉え方も違うとは思いますが、どうせなら「これおろしている」感想よりも、「褒めている」感想を心に置いて見てみたいので、jasmingちゃんの感想はとてもうれしいありがたいものになりました。

あと何ヶ月で字幕付きで見られるのかな?
待ち遠しいわぁ~

Jasming said...

chemi様♪

コメントをありがとうございます、すごく嬉しいです~ウルウル

《霜花店》は私はとても素晴らしい映画だと思いました。ユ・ハ監督の感性が好きな人とそうでない人とで評価が変わってくると思いますが、一日も早くchemi様にもご覧いただきたいと思います。

なにせ言葉が全然解らずに観ているわけですから見当違いも多いと思いますが、「代理合宮」という一事が分かっていれば解りやすい映画です~別の言い方をすれば、言葉が解らずとも理解できるほどに俳優たちの演技が素晴らしかった、と言える映画でした。

感想文では主役3人以外の俳優さん方に触れることができなかったので、機会があったら書いてみたいとも思っておりますが、とにかく今は胸がいっぱい、chemi様にもこの感動をお分けしたいです。

今年もまたいろいろとお世話になりますが(と勝手に決め込んでいます)、どうぞ宜しくお願いいたします。

Anonymous said...

遅ればせながらやっと拝見しました。

見た人の感想でここまで詳細な物がなかったので感激です。

ジンモ氏は「カンナさん」ではスマートなイケメン(Gacktっぽい)でしたが見事に重厚な王役を演じられてますね。
そうですかー、演技が素晴らしいのですね。

予告編でも印象的だった王妃の涙は本編でも王妃の全てを物語っていると。

自己確立に悩む発展途上の青年役なのですね。時折見せる迷いのあるような目がそうなのでしょうか?

うーん、早く見たいー!!

あ、あと琴のシーンは必見ですね。心して見たいと思います。

私は「卑劣」見た直後は廃人化したのですが(映画であんなになったのは久しぶり)「霜花店」もそんな感じになるのかしら?

脇役の方たちに関しても是非。

期待度が急激に増してきました。
ありがとうございます。

Jasming said...

きぃくんへ♪

ようこそ!ハグハグ

《霜花店》よかったですよ~
私には物語自体もおもしろかったのですが、とにかく世評通りに主役3人が素晴らしいです~

ジンモシは「ハッピーエンド」や「カンナさん~」ではあまりピンときませんでしたが「愛」は良いと思いました。
ジヒョさんはドラマ1話目でしか存じませんけれど、映画では実際よりずっと小柄に見えました、きれいでしたしたしとてもよかったです。

それから他の俳優陣は、卑劣~のときはマルチュク~に引き続きの方が何人かおりましたがこの度は一新されていて、新鮮かつグッドチョイスでした。

映画を観た方の感想ってあるのですか、読みたーい。
この映画、欧米で好まれそうな気もいたします。
何かの賞が獲れないかな、なんて願ってます。